« なってみたいもの | メイン | あつい そして夜中思い至った恐ろしいこと »

2005年08月04日

気負うはかりがアートでないと いつかおしえてくれたひと

最近、大人、それも中年にさしかかるせいか、いろいろなことに気づくようになった。
いや、「東海道線と新幹線は別の線路なのか!」とか「楽天はパリーグだったのか!」という気づきでなく、「これでいいんだ。こうしていいんだ」という喜ばしい気づき。

例えば、自分が「鉄道が好き」という事実を最近ひしひし感じている。以前の自分なら「てっちゃん」などと呼ばれたくなさにそれを認めないということはあったかもしれない。しかし、西原理恵子さんの漫画で「自分の中にはちょっとだけ鉄ちゃんの血が流れています」と書いてあったのだ。「ああ、そうか。そう言っていいんだ。」と思った。そういう人もいるんだ、と。で、そう気づくと、自分もそうだな、電車に乗るの楽しいよな―ということに思い至り、今はどこのローカル線に乗ろうかとわくわくプランを空想する毎日だ。

ものを作る、というときも、決まったやりかた通りに必ずたどらないとダメな気がしていた。でも実際にプロダクトを企画して制作するとき、逡巡するのはプロも一緒なのだ。試行錯誤の繰り返し。レールに乗る必要はない。

で、話はそれるがいいものを買いました。「やっぱり今日でした」、ヨシタケシンスケさんというかたの「メモ」本。表紙からもう目が離せずしっかり握り締めてレジに向かった久々の本だ。

そう、メモだ。いわば落書き。もともと造形をやっている人のだから基礎のかたちはしっかりしているが、とにかくメモだ。

でもなんだろう、すごく気が楽になる。いや自分が絵描きなどを目指していた、というわけではないが、イラストくらい描けたら楽しいなといつも思っていた。でもデッサンから始まり、あー教室いこうかなーとか逡巡していた。

バカみたいだ。描けばいいのだ。なんでも。ただし異常なほど繰り返し。なんでも。目に付いたものはなんでも。そう思えたのは今この本を(読み)終えたからだ。

イラストの筆致もいいのが、目線がすごい。広重の浮世絵みたいだ、といったら話飛びすぎか。広重は(赤瀬川さんの評の中にあったのだが)通常ヒトの目に映っていても認識されることのない事物まで描写できているというところがなんだか重なる。この方のメモも、そんな断片でいっぱいだ。いいなあ。「へりに立つ人」「だいなしケーキ」「サンドイッチの構造」「大惨事」。

とにかく、少なくとも自分からは勝手に学ばせてもらうことにしたい。面白いことを「転がしておく方法」「そこに置いとく方法」は、こういう表現でも可能なのだなと。もう、何かせずにはいられない気分だ。あとは、長くこの気持ちが続きますように。

投稿者 otzko : 2005年08月04日 01:13

コメント

 「やっぱり今日でした」、僕も持ってます。
 ヨシタケシンスケさんの本(スケッチ集?)は、「しかもフタが無い」(PARCO出版)ってヤツ、こっちもオススメです。
 特別に上手いわけではないんだけど、"ハッ"っとしちゃうんですよね。何となーく救われた感じにもなっちゃいました。

 ヨシタケさんの本、周りに見せても「ふーん」って反応ばっかりだったので、ちょっと嬉しくてトラックバックまでさせて頂きました。あしからず...

投稿者 やざわさん : 2005年08月04日 07:30

おお、そっちも今日買いますよ。近くのビレッジバンガードで2冊並べて売ってたのです。迷いましたがなんとなく入門編のような気が勝手にしたので「やっぱり」を買いました。

非常に今から楽しみです。

投稿者 おつはた : 2005年08月04日 11:00

で、翌日さっそく買いました、「しかもフタが無い」。

で、本人にも自費出版分を3冊すべてオーダーしてしまいましたよ。

投稿者 おつはた : 2005年08月10日 03:05

 おつはたさん、こんばんは。

 スゴい。怒濤の勢いで「全作品勢揃い」ペースですね。知り合い&ご近所だったら、「読み終わったら是非貸してくれい」と言わんばかりに羨ましいです。
 「デリカシー体操」の表紙、惹かれるんですよね。僕もああやって、メロンに乗っかってみたいもんです。
 これからの「おつはた画伯」っぷり、楽しみにしています。

 オーダー、僕もしようかな...

投稿者 やざわさん : 2005年08月12日 02:35

もう来てました。すばらしい。不在だったのでまだ受け取ってないけど。

メロンに生ハム気分で乗っかりたいですね。

投稿者 おつはた : 2005年08月12日 03:01